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2007年09月29日
ーエピローグー
「コーヒーここに、置いて良いですか?・・・」
アルバイトの大学生の声で、ふっと我に返った。
「あ、ありがとう・・・」
昼過ぎといっても、もう2時をまわっている。
昼食後、うたた寝をしていた自分に気づき、思わず姿勢を正した。
最近、もう3ヶ月前ぐらいから
夜の寝付きが悪く、睡眠が浅い。
3〜4時間も寝ていないのでは、無いだろうか?
最悪なことに、昨日は殆ど眠ることが出来なかった。
別に、体が悪いわけではない。
先日も同級の友人から、
「65歳も超えると、ぐっすり寝て目覚めるということがなくなったな〜」
という、嘆きにも似た電話に頷き、私はこう返した。
「眠ることはともかく、夢を見なくなったよ。
夢で目覚めるということが、めっきり無くなった気がする・・・」
オフィスを見渡すと、2人のアルバイトの学生と、
1人の専属スタッフ、もう2名のスタッフは現場監理に出ている。
小さいながらも、何とかここまでやってきた、
という実感が、最近になってやっとある。
そう、ここまで来るのに20数年費やした。
というべきか、まだ20数年しか経っていないと、言うべきか。
建築家という仕事に定年は無い。
65歳にして、まだ若造扱いされることもある。
私の場合は、50歳を過ぎたあたりから、何とか仕事も安定し、
幾つかの作品も残してきた。
これからだ、という今になって、
これからの仕事の方向性や、自分の歩んで行こうとする道に
実は、少し戸惑いを感じていた。
正確に言えば、そのようなことは、20数年ずーっと悩んできたことだ。
だが、こんなに長く眠れない事は昔は無かったはずだ。
若い頃、仕事の依頼が来る夢を良く見た。
そんな幾つかの夢の中で、
夢か現実か、未だによく解らない“夢”がたったひとつある。
机の奥に、ひっそりとしまってある一枚の集合住居のスケッチ
一生懸命、描いた筆跡は、今でもその感覚を思い起こさせる。
このA4の紙を送信してから
今日で20年の時間が流れていた。
「ちょっと出掛けます。」
頭をスックリさせる為に、椅子から立ち上がり
スタッフに声を掛ける。
「あっ、先程こんなものが送られてきたのですが・・・
2007年度の古い法令集で、表紙も無く破れていて・・・
送り主も解らないので、捨てて良いですよね?
メモのようなものが、挟んであるのですが・・・」
「ち、ちょっと見せて下さい!」
ー完ー
投稿者 mochizuki : 2007年09月29日 20:40