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2007年09月04日
ー第四話ー
自動改札機を出て、そこから直接繋がる廊下の前に立った
その廊下は長いようで短いようで
まったく距離が掴めない
一歩踏み出す
ところで、今何時なのだろう?
時計も携帯電話も忘れてきた
改札にも廊下にも時計らしきものは無く、急に不安になってきた
「今、何時なんだろう?2時までに来るようにFAXには書いてあったけど・・・」
そう考えたと同時に
廊下の両壁に
「あまり気にしなくていいです」という文字が浮かび上がった

「ここに来れば良かったのか?」
「八十八川って“はちじゅうはちかわ”って読むんだろうか?」
「ここは一体どこなのだろう?」
「“しせつ”って何の“しせつ”なんだろう?」
「私は何をするのだろう?」
「誰かこの奥にいるのかな?」
ひとつひとつ
私の頭の中で、わからない事を考える度に
白い廊下の壁に
「あまり気にしなくていいです」
という文字が浮かび、ゆらゆら揺れる
そして、ひとつ疑問を心の中で叫ぶ度に
廊下が長くなって行く・・・
そのうちに、何だか面白おかしくなってきた
「あまり気にしなくていいです」って言われても・・・
それと、この廊下が楽しくなってきた
私は即座に、この廊下を
【あまり気にしなくていいです廊下】と名付けた
“そうだ、私は少しいろいろな事を気にしすぎるのかもしれない”
最近特に疑心暗鬼になり過ぎているのかも・・・
独立して設計事務所を開設してから
以前のように、相談するボスも居なく
様々なことがある度に
なるべく、一人で解決するように心がけてきた
その結果ついつい、あらゆる事を深読みし過ぎる傾向にあるのは確かだ
【あまり気にしなくていいです廊下】を200メートルぐらい行くうちに
本当に「あまり気にしなく」なってきた
あの廊下の奥の扉が閉まっていれば、そのまま帰ればいいだけのことだ
そう思った途端に
廊下の距離は一気に縮まり
その一瞬を待っていたかのように
扉が開いた

「こんにちわ!」扉の奥から声が響いた
ー次回につづくー
投稿者 mochizuki : 2007年09月04日 20:06